●画像生成AIのアートワークに入力された芸術家を知る!
自由にAIが生成するのではなく、元画像+キーワードから生成する機能があるAIスタートアップのウェブサービス「Dream by WOMBO」(カナダ)を用いて、東京・池袋付近の名所画像と巨匠芸術家のテイストをキーワードに入れて生成した実験的なアートワーク。
「Ikebukuro」という限定的なキーワードに対するイメージがデータとして取り込まれているのかということもあり、画像入力できるウェブサービスを選んでいます。画像生成AIに入力するキーワードは、同様のウェブサービスからワードを集めつつ(triadic colors、photo realistic image など)最後に「in style of WHO」などと名前を入れています。
それでは、アートイベントの一環としてアートに触れる機会として、ウィキってみたりしつつ、時代やタッチなどの特徴から選んだロマン派から現代作家まで6人のアーティスト――ウィリアム・ターナー/アンリ・ルソー/ルネ・マグリット/フリーダ・カーロ/シド・ミード/デイヴィッド・ホックニー――を生年順で紹介します。リアルな作品はリンク先へ。
名所✕芸術家の紹介
●自由学園明日館
ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner/1775年〜1851年)は、イギリスのロマン主義の画家。
鮮やかな光の描き方から、"光の画家"と言及されることがあり、風景画で有名。絵に描くための美しい風景を追い求め、数多くの旅をしたそうです。
〈どのあたり?〉
デジタル荒れっぽい中に有名な『解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号』(1838年)のような光の感じ、大気の感じが出ているのが素敵です。しかし好んで黄色を使用し、緑は極力使わなかったといいます。
●イケ・サンパーク
アンリ・ルソー(Henri Julien Félix Rousseau/1844年〜1910年)は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの素朴派の画家。
正式な美術教育を受けることなく独自の感性で描き続け、瞑想的ともいうべき独特の遠近感などが評価されている芸術家です。
〈さて、いかが?〉
『エッフェル塔』(1898年)『滝』(1910年)といった感じを、本来は芝生部分の手前がいい感じにジャングルらしく改変されていて、かつ当時なかった高層ビルもモチーフとして面白く仕上がっている。
●サンシャイン60
ルネ・マグリット(René François Ghislain Magritte/1898年〜1967年)は、ベルギー出身のシュルレアリスムの画家。
絵画は「目に見える思考」とも、自身の作品に視覚的なイメージはあっても意味はないとも言ったそうですが、だまし絵的な絵画で有名。
〈さて、いかが?〉
『大家族』(1963年)のようにも思える空は初期マグリットの抽象画のようでもあり、『旅の思い出』(1962年)をモチーフにしているようにも感じる。なんだかメッセージが感じられるのも面白い。
Memory of a journey (Original Title: Souvenir de voyage) / 1955
https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/memory-of-a-journey-1955
●豊島区役所
フリーダ・カーロ(Magdalena Carmen Frida Kahlo y Calderón/1907年〜1954年)は、メキシコの現代絵画を代表する画家。
セルフ・ポートレイト絵画の先駆者であり、「インディヘニスモ(西: Indigenismo)」という、中南米における先住民(インディオ)の独自文化を再評価し、その社会的地位を向上させようとする社会運動と共に評価されています。
〈さて、いかが?〉
メキシコ的な色の印象は面白い。シュルレアリスムというよりキュビズム的。しかし建物を描いた例もないのでそもそも生成しにくいが『フリーダ・カーロ記念館(青の家)』みたいなことか。
Two Women (Original Title: Dos Mujeres (Retrato de Salvadora y Herminia) / 1929
●ハレザ池袋
シド・ミード(Sydney Jay Mead/1933年〜2019年)は、アメリカの工業デザイナー、イラストレーター。
工業デザイナー、ビジュアル・フューチャリストとして、伸びやかな曲線で描かれたアートワークは映画『ブレードランナー』やガンダムなどで日本でも有名。
〈さて、いかが?〉
SF的な光のあるイメージボードの感じは、未来都市的でもある。ダイナミックな曲線を生成しようとしたのか、工業デザイナー的な直線が失われているのが残念。しかし未来的な池袋でかっこいい。
[公式サイト]https://sydmead.com/
●グランドシネマサンシャイン
デイヴィッド・ホックニー(David Hockney/1937年〜)は、イギリス出身の画家で、現在はカリフォルニア州ロサンゼルスを拠点として活動する芸術家。
肖像画・人物画を得意とし、ハッキリとした色彩と平面でクラシカルなアングル、緻密なタッチが特徴。
〈さて、いかが?〉
グランドシネマサンシャインの吹き抜けのエントランスを、60年代のポップアートを意識できる仕上がりで、『Autumn Pool (Paper Pool 29)』(1978年)やノルマンディーのシリーズの都会版みたいです。
[公式サイト]https://www.hockney.com/works
いかがでしたか。
単純な画像の入力では、芸術家のタッチや雰囲気を感じさせることができても、入力された芸術家のレベルには届きません。独自の視点や感性といった部分が非常に大切なことなんだと考えることもできます。
しかしまた、それらしい仕上がりやコンセプチュアルな展開を加えることで、時代を越えたインスピレーションを得ることができたり、鑑賞以外の活用ができることも楽しんでもらえれば幸いです。