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第5回まち中つながる展覧会 コラム

サムライデンキとつながる

6月30日「まち中閉会式」でライブをする彼ら
観覧の前にYouTubeするのもアリだが
一つとして同じショウではないので是非
〈ACT PAINT〉について訊いてみた

ライブペイント、と言われると、絵の具やスプレー缶、ペンキなどの画材を用いて壁面や設置されたキャンバスに向かって描くことを想像する。
今井善昭(善/ZEn)によって〈ACT PAINT〉と名付けられた彼らのスタイルは、トークによる観覧者とのコミュニケーション、踊りやダンスによるパフォーマンスなど、様々な表現を取り入れてショウアップされたアート表現だ。

――今のスタイルを思いついた理由はなんですか?
人の集中力は長くて15分、と耳にしたこともあるのと、ただ描くだけなら人前でやる必要もあまりないかなぁと。
なので、お客さんの前でやるからには絵以外でも観れるものであるべき、と考えたこと、また、ダンスを僕(杜斗)は独学でやっていたので、こういったスタイルで表現しています。

――驚いたのは「光を使って描く」アイデアでした
僕らの〈ACT PAINT〉で描かれた作品は大体1時間持ちません。その「光を使って描く」ものは特にすぐ消えてしまう。その消えていく様に侘び寂びを感じ、お客さんにもそこは感じてほしいなと思ってる表現のひとつです。

――消えてしまうその表現を際立たせるための説得力が必要だと思いますが、そのために気をつけていることはありますか?
ライブは全部が一発勝負。常に〈ACT PAINT〉を考え、とことん作品(僕らは演目って呼んでますが)を考えて、練習してます。どんなに踊っても、描いた線が引けてモノの形が見えてくる。一筆一筆の重さのための練習が目に見えない説得力になると考えています。

――最後に〈ACT PAINT〉として表現している理由を訊いてもいいですか?
表現をすること自体は、レジ打ちでも通勤でも、歩き方喋り方などでもその人自身を表現してるって思います。
でも、絵で表現したい!とか踊りで表現したい!ってのは我儘で病気に近いものだと思ってます。お客さんとの限られた時間でも、これが俺だ!ってなるもんを伝えることを続けていくことで心のどこかを動かしてみせたい。そのために僕らは表現しています。

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毎回〈ACT PAINT〉の内容は変化するが、一部は彼らのYouTubeチャンネルで観ることができる。
https://m.youtube.com/channel/UC0nmD8BtZ4DhTS64Gf2U8LA

芸術活動を広く捉えた「アート」というワードが相応しい「サムライデンキ」の複合表現は、まさにハイアートxサブカルチャーという時代を終えた、21世紀の新しい芸術活動のトライアルのひとつとして〈まち中〉では紹介したい。
仮にメディアアートとカテゴライズした場合、そこによく〈体験型〉という枕詞が付くが、刹那性を強化したショウ形式によって、アートが音楽的なグルーヴに近い感覚をもたらす瞬間があることも解る。それがまさに彼らが感じて/楽しんで欲しいアート表現〈ACT PAINT〉なのかと。

〈サムライデンキ/プロフィール〉
絵で一座建立を目指す杜斗(もりと)と慶也(けいや)の表現者ユニット。
踊りながら、時には演じながら描くライブペイント“ACT PAINT”が代名詞。2015年に行われた『第11回新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館』でのライブペイントを皮切りに東京・豊島区を中心に活動中。
https://fb.com/samuraidenki