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第5回まち中つながる展覧会 コラム

メジロックと〝つながる〟

障害者と協働するリアルなブランドアプローチ
「メジロック」を通して知るアートの役割や活用

まち中には、今回初めて「メジロック」さんから作家契約されているSatoe Matsuura・Miki Kanesaka・浅海平・ひであき・林由季子の5名の作家の作品出展があった。「メジロック」は障害者の通所施設、目白福祉作業所/生活実習所が立ち上げたブランド。
平成27(2015)年に立ち上げて4年めになる「メジロック」という活動のそもそもを、施設長 上原さん・支援員 友成さん・アトリエ担当 吉田さんの3人に伺いました。

――「メジロック」さんの商品は〈まち中〉に参加されている江古田の「オイルライフ」さんで見かけて、福祉×ブランドは新しいなと思い
「オイルライフ」さんは、たまたま江古田に住んでいた職員が、気になる雑貨店があるということでお話をしてみたところ販売を承けてもらいました。
商品化はもっと以前から行っていて、浅海さん(今回・椎名町「リラクゼーションサロン ひだまり」に展示)が描いているサムライの絵を気に入った職員が何かできないかと考えたところが始まりです。

――ブランドの始まりについて聞かせてもらえますか
やるからには、ただ作るだけではなく、ちゃんとしたものにして届けたい、という思いで皆で話し合いました。福祉とのかかわりの少ない若いターゲットを想定(20〜30代前半の男性)し、伝えたいことを「6つのテーマ(写真参照)」でアイテムにフェス/音楽をイメージして届きやすくする、などをみんなで考えています。

商品開発については、ブランド化を進める時から関わってもらっているコミュニケーションデザイナーの加藤さん(おおきな木)やデザイナー「MUTE」さん、コーディネーターのcon*tioさんとは今でも、月に1度商品開発会議、年に1度のこれからの展開を考えるワークショップがあるそうで、お話を伺った会議室のホワイトボードには「6つのテーマ」から伸びていくマインドマップが貼ってあった。
そして、日常的にスタッフが自由に創作したものを見て「何かになるんじゃないか」と考え、楽しく後押ししているというお話は、このあと施設を見させていただいた時に改めて強く実感する。

――Facebookを見ると地方を含め様々な場所で活動や発表をしていますね
年2回「メジロック通信」というのを発行しています。近くでは施設にお米を卸してもらっている椎名町駅北口の「並木米穀店」に置かせてもらっていて、それを近所の「シーナと一平」の方が見てご連絡いただいて、メジロックな仲間たち展(アトリエ展)をこれまで3回することになったり、近隣の目白図書館さんや保育園とも交流することになったり、想像していなかったような広がりを感じています。

――施設に来られる方はどれくらい離れた場所から来られるんですか?
遠くても二駅くらいの方が多いです。軽度の方は、福祉作業所で9時から16時、重度の方は生活実習所で10時から15時半くらいまでを施設で過ごしています。イベントなど地元以外の場所での活動も大切にしていますが、やはり地元に根ざした活動をしたい、というのが「メジロック」を始めた当初からあります。地元にファンが増えてくれるといいなと考えています。

施設では日中活動のひとつとして、それぞれの「できること」などを組み合わせ、個性あふれる「モノ」づくりに取り組んでいる。その売り上げを「工賃」として支払う仕組みと、「メジロック」というブランド活動が生み出す相乗効果が話を聞いている中でみえてくる。

――絵を描く、という取り組みについて聞かせてください
作業もあるが、ここでは自由に気持ちよく楽しくやれることを重視しています。絵を描くことは、メジロックを始めて1年位した時に「アトリエ活動」が始まり、多くの人に広がっていきました。「アトリエの時間」は月に2日/半日あり、その時に好きな道具(身体)を使って表現できるようにいろいろな画材を用意しています。他の人が描いているのを見て真似して描いたり、それぞれが新しいことを考えたりして自由にやっています。今はフェルトがブームなんですが、やりたいことがあると「あれ(画材)が欲しい」というリクエストもあるんです。

「促すのではなく、自発的に」今回の〈まち中〉展示でも使われている「メジロックオリジナル額縁」というすごく素敵なアイデアも、商品什器などもその絶妙なバランスでつくられていることを知るとまるで違って見える。
このあと見学させてもらった現場では、壁中に貼られたり飾られた様々なイラストがあったり、机に向かって紙をずっと同じ大きさに切り続けている人がいたり…みなさんが何度も言っていた「ゆるーく」という言葉のとおり、施設全体がとにかく明るく楽しい、自由な雰囲気だった。

アートの活用という観点でお話を伺ったが、ひとつの創作から始まった様々な活動は、アートが自己表現だけではなく相互作用/関係によって存在意義/役割を与えられていることを「メジロック」活動から教えてもらった。
是非Facebookページもフォローして欲しい→https://www.facebook.com/mejirock6/

▶目白作業所方針(一部)
利用者一人ひとりの素敵な暮らしを見つけて応援する。
利用者が輝くために、心のこもった商品や仕事をつくる。また、活動の中にその場面を作る。
http://www.ikuseikai-tky.or.jp/~iku-mejiro/